涸沼の恵みを未来へとつなぐ「手掻き」のシジミ漁 Webマガジンいばらきの地魚市場vol.11

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うま味たっぷり。涸沼のシジミ

涸沼のシジミ漁は周年行われているが、旬と言われているのは夏(6月~8月ごろ)と冬(12月~2月ごろ)である。夏のシジミは『土用シジミ』とも呼ばれ、産卵前で身がぷっくりと太っているのが特徴だ。一方の冬のシジミは『寒シジミ』とも呼ばれ、寒さでギュッと身がしまっている。

高野さんによれば涸沼のシジミは「だしが良く出てうま味が濃い」のだという。この濃厚なうま味を簡単に味わえる料理としては『シジミの味噌汁』がお勧めだ。また、別の年配の漁師さんにお勧め料理を聞いたところ、「炊き込みご飯は美味しいね。その他は涸沼では5百円玉大のシジミが獲れることがあるけど、この大きなシジミの酒蒸しやバター焼きは自分でも作るよ」と答えが返ってきた。

健康面でも「土用シジミは腹薬」とことわざにあるように、シジミは昔から肝臓に良い食材として知られている。肝機能を高めるといわれるオルニチンやメチオニン、タウリンなどの成分を含んでおり、話を聞いた地元の漁師さんは「昔は肝臓の病気の黄疸(おうだん)が出るとシジミ風呂(シジミ汁を入れた風呂)に入ると治ると言われていたよ」と教えてくれた。

最後に高野さんに一番伝えたいことを聞いたところ「大事に獲ったシジミだから、みんなに食べてもらいたいですね」と答えが返ってきた。漁師が自信をもって勧める涸沼のシジミをぜひ味わっていただきたい。

〈シジミの砂抜き〉

シジミを美味しく食べるにはしっかりと砂抜きをすることが重要である。シジミをザルに平らに置き、1%程度の濃度の塩水を入れた器に入れて放置する。ザルに入れるのはシジミが吐き出した砂を再び取り込ませないためだ。筆者の経験では2時間放置したら塩水を交換して、さらに2時間放置する。計4時間程度で大抵砂が抜ける(*)。砂抜き後、すぐに調理しない場合は冷凍しておくといつでも調理できるので便利だ。味も落ちることはない。

*シジミの状態などで砂抜きの時間は変わるので砂の吐き具合で調整願いたい。あまり高密度で砂抜きすると酸欠する可能性があるので注意が必要。

<こちらも見てみよう>
●茨城をたべようポータルサイト
●茨城県水産試験場版レシピ

涸沼は全国有数のシジミ漁場。全国的にも珍しい、機械を使わない手掻き操業で獲るシジミは、キズが少なく日持ちするのが特長。

これは食べたい!

だしと旨味がすこぶる濃厚、涸沼のシジミ

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