鮮度抜群のメヒカリを届ける漁師の工夫と努力
「揚げるぞー」船長の掛け声を合図に、いよいよ網揚げが始まった。狙うメヒカリがどれだけ入っているか期待に胸が膨らむ。20分ほどで船上に網が揚がり、網口が開けられると,種類も大きさも様々な大量の魚が広がった。その中にメヒカリのあの大きな“キラリ”と輝く目が、あちらこちらに確認できた。
網が船上に引き上げられて、網口が広げられると、多種多様な魚が飛び出してきた。
ここからが時間との勝負で、多種多様な魚を漁師さんたちは素早く、正確に選別してゆく。メヒカリの場合1つかみでだいたい5,6匹、1カゴあたり20つかみ程繰り返す。あっという間に選別が終了し、海水で綺麗に洗われて、氷の入ったタルに入れられると、漁倉に保管される。その手際の良さにはただただ驚いてしまう。小泉船長が魚を扱う上で最も気を遣っていることは「鮮度管理」だという。選別作業を素早く行い、魚を充分冷やすことはもちろんのこと、沖泊りせずに、出港当日に帰港して、獲れたてをその日のうちに出荷したり、網を曳くスピードを調節して魚の痛みを軽減させたりと、鮮度を保つために様々な工夫と努力をしているのだそうだ。
熟練の技で素早く魚種ごとに選別し、狙いのメヒカリを集めていく。
この後2回の網降ろしと選別作業を行い、漁を終えて漁港に戻ったのは午後2時30分であった。11時間もの漁を終えた後であるが、休む間もなくメヒカリが入った重たいタルを陸に揚げる。取材日の水揚げは8タル分で素人目には多く見えたが、これでも普段より水揚げが少なく、多いときはこの3倍近くになることもあるという。陸揚げされたメヒカリは漁港併設の産地市場で、直ちに計量と入札が行われ、仲買人によってセリ落とされたメヒカリは県内外の消費地へ送られていった。
陸揚げされたメヒカリは計量、入札され、県内外の消費地に送られる。
注)記事中の写真は平成28年10月に撮影したものです。