春の風物詩 二艘曳きのサヨリ漁 Webマガジンいばらきの地魚市場vol.3

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「海の輝き」、鮮度が命。

網揚げ、開始。

「そろそろ揚げますよ」
網を曳き始めてからおよそ1時間。船の速度を落とし、操舵室から勢いよく飛び出してきた勝雄さんは、船尾にあるボールローラーという揚網機を作動させる。ボールローラーがぐいぐいと曳きツナと網を巻き上げる。船をゆっくり後退させながらとはいえ、相当な速さだ。

『ザバァーッ』

あっという間に網が船に引き上げられた。漁獲量はおよそ1カゴ半。見た目以上に獲れているように見えた。

(あれ〜っ?!) 引揚げられた網を見て驚いた。何故なら、網にはサヨリしか入っていなかったからだ。海にはいろいろな魚が棲んでいる。網をずうっと曳いて来れば、いろいろな魚が入ってくるのが当たり前だ。そんな光景を思い描いて、『せめて魚を選別するお手伝いはしよう、せっかくだからサヨリ以外の魚の写真も撮ろう』と準備してきた者としては、肩すかしを食ったよう。

そんなことにはおかまいなく、陽光に煌めくサヨリはカゴに収容され、大きさ別に仕分けられていく。大きさで魚の値段はシビアに変わるため、この仕分け作業は容易に手伝えるものではない。気がつけば、すでに網は再び繰り出され、2番目の漁が始まっている。勝雄さんにとっては毎日のこととはいえ、そのすばやさに舌を巻くしかない。

長く伸びる赤い下顎と、短い上顎の受け口が特徴的なサヨリ。すらりとした美しい姿の反面、腹腔膜が黒いところから「サヨリのように腹黒い」と使われることも。茨城県では、12月から5月にかけて漁獲され、旬は2月から4月。

これは食べたい!

サヨリを味わう。久慈浜丸小おかみのレシピ

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