鹿島たこはこう獲る! タコ壺漁
鹿島たこは、生まれてからその地に居ついた“地ダコ”と、季節で大きく移動する“渡りダコ”がいるとされる。漁獲量が増えるのは渡りダコが鹿島灘にやってくる11月下旬から2月にかけてだ。
『この辺は平らだから、少しでもへこんだところにツボを入れる。タコには通り道があるって言うよね。』渡りダコを多く獲るコツは“タコの通り道”に漁具を入れられるかどうかだと、鹿島灘漁協所属やまもと丸船長の山本正さんは言う。ただ、通り道は毎年同じというわけではなく、鹿島灘の北と南の漁場とで漁模様の良し悪しが分かれ、しかも年によって入れ替わることもあるらしい。
ひとつの仕掛けには50~70個のツボが付いていて、10匹くらい入るのが平均的というが、全く入らないこともあるという。逆に、一度に50匹も獲れて、甲板がタコだらけ!になったこともあるそうだ。
期待を胸に順々にタコ壺を船に引き揚げていく。
出港から20分ほどで到着した漁場には、1日~数日前に仕掛けておいたタコ壺の場所を知らせる旗付きの竹棒が海面に立っている。これを船に取り込み、順々にツボを揚げていく。機械を使うとはいえ、1個4~5kgのツボをたくさん扱うのはなかなか大変な作業だ。
船上でツボに入っていたタコが自ら外に出てくると、むんずとつかんで海水が満たされたタルに収容する。出てこないタコには、ボトルに入った濃い塩水(海水よりもずっとしょっぱい!!)をぴゅっとかける。これにびっくりして慌てて出てきたところを捕まえる。力づくでツボから引き出さないのは、タコに傷をつけない工夫である。
濃い塩水をかけられると、びっくりしてツボから這い出してくる。
タルに収容された鹿島たこは、漁の合間や獲れ具合に見ながら、一匹ずつ漁協指定の網(玉ねぎ袋!)に入れられ、船の生け簀に移される。これもタコ同士の噛み合いや水揚げ時の損傷を防ぐための工夫である。
傷がつかないように一匹一匹大事に玉ねぎ袋に入れられる。