分布の南限 鹿島灘のホッキ貝 Webマガジンいばらきの地魚市場vol.6

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ホッキ祭りは、長蛇の列。

大洗町のホッキ祭りとホッキ貝漁

例年6月、大洗町では「ホッキ祭り」が開かれる。大洗で水揚された大ぶりで鮮度抜群のホッキ貝を買ったり、食べたりと、これを堪能するにはまたとない人気イベントだ。そんな祭りの前日、共催者である大洗町漁協は忙しさのピークを迎える。多くの来場者に喜んでもらえるよう、祭りで提供するホッキ貝を獲りに船を出すとのことで、特別に同行させてもらった。

この日は漁船3隻での出漁。漁獲の目標は1.5トン。「各船1.5トン?」と尋ねると、笑顔で「ムリ、ムリ、ムリ、ムリ!」の声。海底に暮らすホッキ貝はマンガと呼ぶクワのような漁具「貝桁網(かいけたあみ)」をじっくりと曳いて獲るので、貝の生息密度で時間当たりの漁獲量が変わる。なんでも昨日は1時間20分の曳網を3回行って、600 kg獲れたので、3隻で昨日と同じように獲れれば1.5トンは超えるかな、という目算らしい。

13時07分。港の出口でエンジンが一段と唸りを上げた。祭り用の漁なので普段の水揚げが終わってから、再度準備しての出漁だ。早朝から一度は本気の漁を行っているのに、午後にまた獲りに行ってくれるとは、新鮮なホッキ貝を目当てに祭りに行く側としてはありがたい限り。港出口から船が走ったかと思えば、漁場まではほんの数分。周囲を見渡せば海岸線がほど近い。岸からはおよそ数百メートルといったところか。一方の水深は約5メートルと、それほど深くはない。海岸に向かう波を横に見ながら船がゆったり進む。

茨城県大洗岬から千葉県犬吠崎の沖に広がる「鹿島灘」は、黒潮と親潮が交錯して流れる水産資源が豊かな漁場。サバ、イワシをはじめ、さまざまな種類の魚が獲れ、関東の食を支える重要な海域。

これは食べたい!

ホッキ貝で旬の味覚。

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