茨城のヤリイカ漁は朝が勝負
ヤリイカの旬である2月。陸の灯りが静かに灯る夜明け前の3時30分、日立市にある久慈町漁協所属の底びき網漁船、大昭丸(たいしょうまる)が僚船と同時に出港した。港を出ると港内では静かだったエンジン音が漁場に向けて大きく響く。甲板では船の灯りに照らされた漁具の最終点検を3人の乗組員が行っている。すべて薄暮の早朝から漁具を曳き始めるためだ。
なぜ、朝が勝負なのか。漁家3代目という小泉船長の答えはこうだ。『夜中、中層に浮いていたイカが朝には底近くに沈んで、網によく入るようになる。晴天で潮が澄んでいると日があがって明るくなると獲れない。潮が濁っていれば晴れていても獲れる。曇っている日は1日獲れる。やっぱり網がみえてるんじゃないかな。』幸か不幸か、この日の天気予報は晴れ。大漁と不漁、どちらに転ぶだろうか。