これは食べたい! ヤリイカ料理
「俺はやっぱり刺身かな。甘みと(噛めば噛むほど出てくる)コクが最高だ。それに(スルメイカに比べて)皮がとにかく剥きやすい。火を通しても柔らかいから焼いてもいいし、煮付けも天ぷらもいい。焼き加減は15分ほど両面を素焼きして、食べる時に醤油につける。煮つけの味加減はその人の好みだけど、イカに甘みがあるから醤油だけでも十分だね。」
そう語ったのは船長である。
また、水揚げ地の久慈町漁協職員は、ある品を一押しする。
「うちは、里芋を入れた煮物かな。イカのまこ(卵)を入れたままにするのも美味い。夜中に作っておいたら家で食べられちゃって喧嘩したこともあるよ。」
こう聞いて、料理素人の著者がレシピサイトを参考に作ってみたのが刺身と里芋を入れた煮物、そしてバター焼き。見た目の批判は甘んじて受けるが、とにかく、皮は剥きやすく、やわらかく、十二分に美味かったことを伝えたい。
先に記したように1~5月が茨城沖の漁期であり、主に那珂湊以北の漁港で水揚げされたものが県内や近県のスーパーに並ぶ。この間、ヤリイカは産卵に向けてどんどん育ち、雌は卵を持つようになる。旬のなかでも大小それぞれで味わいが変わる。旬に一度ならず、何度でも味わいたい。