鹿島灘のハマグリ漁
鹿島灘のハマグリ漁には貝桁網(かいけたあみ)という漁具を使う。その様子は概ね【ホッキ貝】の記事で紹介したとおりだが、ハマグリ漁でも海岸線に沿って、ハマグリが生息する水深帯を狙って貝桁網を曳く。出漁の頻度は、漁師一人一人にすれば1か月に1回あるかないかでしかない。
今回取材でお世話になったのは鹿島灘漁協で「ハマグリ部長」を務める内野さん。漁家の3代目で、船の名を兄弟丸(きょうだいまる)といい、祖父の代、兄と弟で船に乗ったことから名付けたのだそうだ。今は二人の息子さんと船に乗る。「ハマグリ漁は生息するスジを外すと、獲れない。操業するスジは、昔は錘を沈めて水深が何ヒロってみて決めた。今は水深を魚探で岸からの距離をGPSで測るね。それに、輪番操業で場合によっては2か月に1回の漁になるから同僚と情報交換しながら網を曳いている。」と内野さん。
網を曳く速さを聞くと、「早く走ると貝が傷みやすくなるから、うちらは1時間30分で船が動くのは100mくらい。」という。ただ、そうはいっても、話をしている目の前には、船の進行方向に向かって同僚船が何隻も連なっている。取材者は僚船に鹿島灘はまぐりが先に獲られてしまわないか気になってしまったが、これについても、プール制といって、各船が漁獲したハマグリを、一旦集め、公平に売り上げを分配する仕組みを導入しているので、競って獲ることがないとのこと。
一緒に操業する仲間を信頼し、共通ルールで操業することで鹿島灘はまぐりの資源や品質が維持されていることに納得した。
左下に写る貝桁網の歯の部分で貝を掘り起こし、網に取り込み漁獲する。