ハマグリ部長は大変だ
鹿島灘のハマグリ漁は、資源管理を漁師が協力し合うことで成り立っているが、輪番で回ってくる担当の時に、出漁するかしないかをハマグリ部長が決めている。内野さんによれば「ハマグリ漁は岸よりの2~5メートルの水深帯での仕事。波や天気の影響をすごく受ける。波が穏やかで風なしがベスト。出漁日は一発で決めたいが、皆で一斉に操業するから無理はしない。団体操業だから皆が納得し合ってやらないとうまくいかない。まあ、他の漁業もルールを守らないと駄目だけどね。だから、予定は早めに知らせる。ハマグリ部長は組合の役員のなかから適任者を組合長が指名して決める。」という。
内野さんは組合理事3期目で、建網(たてあみ)部長を経てハマグリ部長を2期務めている。しかし、このような経験を積んでいても、出漁の判断は非常に気をつかうそうだ。出漁しても風が吹いてしまい早上がりとなって予定の操業ができないという事態は避けたい。乗船取材ができるかできないか、という取材陣の心配とは明らかにレベルが違うことは間違いない。
取材当日はハマグリ部長の見立て通りに天気に恵まれ、しっかりと操業が行われた。他の僚船よりも早く帰港した兄弟丸はおよそ150kgの水揚げであった。
ハマグリの入ったズッシリ重いカゴを協力して陸揚げする。仲間の船が水揚げしたハマグリが集められ、その後、各方面へ出荷されていく。